催眠療法士養成講座(中級・上級)

催眠療法士養成講座 中級

講師 伊勢佐木心理療法室長 野田長生

講習時間 : 月一回(土曜日2時間、日曜日6時間)3ヶ月間
日程 : 未定
受講料 : 48000円(税込)
会場 : 横浜心身健康センター 心理療法室内

 前々からの持論ではありましたが、最近になって私の催眠に対する考えを催眠理論と催眠療法のあり方が確立できました。それによって以前よりまた一段と催眠がよりわかりやすくて扱い易くなっています。また、個人個人のペースも見極めやすくなるので、セミナーに参加された方ひとりひとりが自分のペースにちょうど良いところから催眠技法を会得し伸ばしていけるでしょう。それは癒しや自己解放にも繋がります。

 ところで、不思議なことに催眠とはどのようなものか。それについて催眠の長い歴史の中において今現在まで様々な研究者が、いろんな定義をしてはいるものの、そのどれもが不十分でシッカリとした催眠理論となりえていませんでした。

 例えば「参考文献:よい催眠わるい催眠:情報+研究サイト」によると、偉大な催眠療法家であるミルトン・エリクソンは『催眠とは、ひとつの「考え」または一連の「考え」に対し、集中した注目と受容性を保った状態である』と言ってます。日本の催眠界の大御所である成瀬悟策先生は『催眠とは人為的に引き起こされた状態であって、いろんな点で睡眠に似ているが、しかも睡眠とは区別でき、被暗示性の高進および、ふだんと違った特殊な意識性が特徴で、その結果、覚醒に対して運動や知覚、記憶、思考などの異常性が一層容易に引き起こされているような状態を指していう』などと言ってますね。

 私は催眠とは『催眠誘導者のリードによって被催眠者がその気になったり夢中になったりして我を忘れ、誘導者の暗示やリードに感情移入した状態である』と定義づけました。今までの催眠理論の中で部分部分では似たような表現を用いていることはあっても、それをまとめて理論としたのは私が初めのようです。

 実は後から気がついたのですが、先に述べたミルトン・エリクソンの催眠解釈にかなり似通っています。エリクソンの方が平易な言葉で述べているだけです。でもエリクソンの説明には催眠誘導者と非催眠誘導者の関係性が含まれていないのでちょっと物足りません。わたしの理論は催眠誘導する側とされる側の関係性も含めて概念化しているのでバッチリではないかと自負しています。生意気にも今後この考え方が催眠理論のスタンダードになるのではとも思っています。

 成瀬先生の言うような「ふだんと違った意識性とか異常性」という表現や、トランス状態を説明する時によく用いる「変性意識」などの言葉を用いると、催眠状態がいかにも特別なもののように思えてきますよね。でも本当は催眠状態のあり方こそ日常で頻繁に起こっている現象に近いのです。「ふだんと違った状態」と思い込んでいるのは私たちの自我意識の勘違いです。このあたりが見えてくると催眠がぐっと扱い易くなるので、催眠技法もとてもじょうずに用いることができるようになりますよ。

 ちょっと理屈っぽくなりましたがでも講座はとにかく、おもしろくて為になる!がモットーです。

カリキュラム

第一回
①理論
・催眠(トランス)状態の理解「我を忘れた状態」
・段階を踏んだ催眠状態の理解
②実技
・催眠誘導技法導入部「3種類の被暗示性テスト」

第二回
①理論
・意識の勘違いの理解
・感覚支配・記憶支配・エアポケット的トランス状態の理解
②実技
・前回の技法の復習
・「ヒューマンブリッジ」の技法の会得
・初期催眠誘導技法の練習

第三回
①理論
・思い込みの心理学
・投影規制・洗脳・カリスマ性・ラポールなどの本質を学ぶ
②実技
・「ヒューマンブリッジ」の復習「ヒューマンブリッジ」
・様々な催眠誘導技法

第四回
①理論
・催眠療法の際に起こりうる対人関係
・フロイトの先輩ブロイアーの催眠療法によるO・アンナの症例
②実技
・前回の誘導技法の復習 ・中程度のトランス状態までの深化法の練習
・より強いリード(誘導技法)

第五回
①理論
・前回に続き転移関係の理解
②実技
・シンプルな心理治療的催眠技法
・自分や身体との良い関係を築く技法「セルフイメージ療法」

第六回
①理論
・心理療法とはどのようなものか
・心の構造と催眠療法
②実技
・今までの催眠技法の復習
・記憶支配の催眠体験とその誘導技法
③反省会
・質疑応答
・反省会

催眠療法士養成講座 上級

☆催眠に関する技能の実力アップ(上級者)向けの講座です。
☆現在催眠を用いている方でより催眠技能を高めたい方にお勧めします。
☆催眠療法技法と共に心理療法全般の理論と実際も学びます。

講習時間 未定
日程 未定
受講料 未定
会場 横浜心身健康センター 心理療法室内

カリキュラム(まだ完全には決まっていません)

①理論
催眠の本質とは
野田式催眠理論
感情移入状態 ・自我委譲状態
催眠を用いる際の治療者とクライアントの関係性
リアルイメージと自我の強さのバランス
心理療法における催眠
二者関係と三者関係の違いにおける催眠療法
心の逆説性
コントロールしようとしないコントロール法
ロジャーズの援助的人間関係
ホメオスタシス・自律性解放・夢

②体験学習
催眠誘導技法
心理療法家としての援助的人間関係のトレーニング
心身の活動への気づき
他者催眠、誘導のコツ
心理臨床とはどのようなものか
催眠深度の違いによる催眠療法
フォーカシング的催眠療法
インナーセルフ療法
自律性イメージを理解するためのユング心理学
より深い誘導技法(後催眠暗示・催眠神経症)

 現在心理技法として催眠を用いている方でその催眠誘導技能をより高めたいと考えておられる方。今すでに催眠に関連する分野に携わっていてでもそれに飽きたらずより良い催眠技能を向上させたい方。もちろんそれぞれの立場の垣根にこだわらないで自身の催眠技能のよりいっそうの向上を目指したい方に最適です。

 さらにより深い催眠状態を導くためのコツや催眠状態に入りにくい人に対する対処の仕方などの研修を深めていきます。

 催眠療法を用いる際にはその治療が何を狙っているのかその本質をよく理解しておく必要があるので、心理療法とはどのようなものかの学習もしていきます。

 またさらに日常の人の心の凝縮版といえる催眠状態の催眠実験(記憶操作や実験神経症)などを通して目には見えない人の心がどのようになっているのかを学習します。

援助的人間関係における催眠

 上級者向けの催眠セミナーのもう一本の柱として、催眠療法を用いる際に立ち起こってくる治療者とクライアントの転移関係などに対処できるようになるために援助的人間関係のあり方の研修もしていきます。ここにおいてはじめて適切なクライアントに本当に役に立つ催眠療法が行えるようになるのです。

 催眠はクライアントにその気になってもらうための道具でしかないので、それを心理療法として用いるにあたっては治療者はクライアントを援助したい気持ちと共にそれなりの思想や哲学を別に持つ必要があります。研修会では個人個人が元々どのような思想や哲学を持っていたかを検討したり、心理学の分野から催眠療法を用いる際に役立ちそうな思想や哲学を取り入れる工夫をしていきます。これは先に述べた援助的人間関係の研修と重なる部分です。

治療するだけでない創造的な催眠療法

 私が心理面接で催眠をいろいろな用い方をするなかでもよくやるのが、クライアントに自分を見守ろうとする意識を持ってもらった上で、できるだけ深い催眠に入ってもらうように導くやり方です。それが確立したなら後は私はそれを軽くリードするくらいで途中からは、催眠を用いないイメージ面接法と同じ態度でクライアントのイメージ活動にほとんどついていくだけにするのです。

 上手に催眠状態に入ると意識が思いつかないような自律的なそれもリアルなイメージが現れたり、それが展開しはじめます。それらは時にとても苦しかったり、おもしろかったり、不思議だったりもします。

 クライアントの心の深層からそのように現れてくるイメージに、自分を見守るクライアントと治療者の二人で向き合って取り組んでいくことがクライアントの問題解決や治癒に非常に役立つのです。これは先に述べたように本格的な心理療法では共通する基本のやり方です。

 このように自分もしっかり保ったうえで深い催眠状態に入れる(イメージの世界に没入していける)というような、相矛盾したあり方は創造性を発揮するための秘訣でもあるのです。その両方の能力をより強く持てば持つほどに創造性を最大限発揮できるわけです。

★参照ページ:『なぜ催眠は不思議に見えるのか『催眠の正しい理論』催眠療法の長所について』『自分を知るための心身相関図 催眠・禅・意識の勘違い